2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700380
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 宏治 Okayama University, 異分野融合先端研究コア, 助教 (70443223)
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Keywords | 精子 / メカノバイオロジー / ソフトリソグラフィー / 運動性 / カルシウムイオン / 細胞生物学 |
Research Abstract |
1) 運動精子を高さ50μm,幅500μmのPDMS (Polydimethylsiloxiane)製マイクロチャネル内に入れて、その運動性と細胞内カルシウム濃度の([Ca2+]i)測定を行った。空気圧アクチュエーターで駆動する薄膜(0.1mm程度)を組み込んだマイクロ流路を完成させた。このマイクロ流路システムは卵管の蠕動模倣系と考えている。次に、頭部を固定し精子内イオン動態を計測する系においては、ヒト精子についてはヒアルロン酸ではなく、Poly-L-lysineをガラスにコートして精子頭部を吸着させる方法が良いことを確認した。また、ブタ精子がガラスに吸着し易いことを利用して、ブタ精子頭部をガラスに吸着させ、水頭差変化によって流速を変化させた際の[Ca2+]iを計測した。現在のところ、その定量性は見出していないが、[Ca2+]i流速が上昇する際に頭部の[Ca2+]i上昇が観察された。逆に、ブタ精子の場合ガラスを底面に貼りつけたマイクロ流路では運動性評価が困難である。酸素プラズマ処理なしでマイクロ流路を作製することによって、ブタ精子の材料への吸着を抑えることに成功した。今後はその運動軌跡と細胞内分子挙動について精査する計画である。 2) イオンチャネル阻害剤(RuRedとGdCl3+)添加時の蛍光強度変化観測を試みたが、ヒト精子運動速度は著しく低下しなかったものの、[Ca2+]iに由来する蛍光強度が著しく低下したため、この観察系では精子運動性と機械受容チャネル活性に関わる議論が困難であった。この点を正当に検証するためには、流速変化と[Ca2+]i由来の蛍光変化を詳細に検討する必要があると考えている。また、今後は候補となるイオンチャネルの選択的阻害剤添加時の挙動を評価する。
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