2008 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴緩和を応用した関節軟骨の制限拡散現象の解明とマイクロ構造評価技術の開発
Project/Area Number |
20700381
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮田 昌悟 Keio University, 理工学部, 講師 (70376515)
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Keywords | 関節軟骨 / MRI / 制限拡散 / 非侵襲評価 / 微細構造 |
Research Abstract |
関節軟骨は質量の70-80%が水分から構成されるために, 組織内の水分子の運動性と軟骨の材料特性との間には密接な関係が存在すると考えられる. 軟骨内部の水分子は細胞膜や細胞外基質(コラーゲン, プロテオグリカン)により運動空間が制限される制限拡散現象の状態にある. 本研究では制限拡散現象の観測に基づく微細構造評価法の開発を目的とする. 本年度は生体軟骨と細胞含有ハイドロゲルを試料としてq-space MRIにより制限拡散現象を観測し, 関節軟骨における制限拡散現象に及ぼす細胞膜, 細胞外基質の効果を検討した. 具体的には, 仔ウシ関節軟骨より酵素的に細胞を抽出してアガロースゲルに分散した軟骨細胞・アガロースゲル複合体を試料とした. 軟骨細胞は採取した仔ウシ軟骨片からコラゲナーゼ溶液により抽出し, 低細胞密度4.0x10^6 cells/ml, 高細胞密度2.0x10^7 cells/mlの軟骨細胞・アガロース複合体を作製した。4. 7TのMRI装置を用いて水分子の拡散による信号減衰の測定を行うことで拡散速度分布, 制限拡散現象を検討した. その結果, MRIにより生体軟骨, 軟骨細胞含有アガロースゲルの各組織中の水分子の拡散速度分布を測定することができた. また, 軟骨細胞含有アガロースゲルでは細胞由来の水とゲル内の自由水の2種類の拡散が観測された. 一方で, 生体軟骨では非線形な信号減衰が観測され, 軟骨には細胞膜の制限効果以外の細胞外基質由来の制限拡散成分が存在することが示唆された. 今後は, 培養試料, 酵素組織変性モデルを用いてより詳細な評価を行い, マイクロ構造評価技術の開発を行う予定である.
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Research Products
(5 results)