2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴緩和を応用した関節軟骨の制限拡散現象の解明とマイクロ構造評価技術の開発
Project/Area Number |
20700381
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮田 昌悟 Keio University, 理工学部, 講師 (70376515)
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Keywords | 関節軟骨 / MRI / 制限拡散 / 非侵襲評価 / 微細構造 |
Research Abstract |
組織工学的手法を用いて軟骨細胞を生体外または生体内で3次元的に再構築する軟骨の再生医療では,非侵襲的な組織形成度の評価法の確立が必要不可欠である.関節軟骨は質量の70-80%が水分から構成されるために,組織内の水分子の運動性と軟骨の材料特性との間には密接な関係が存在すると考えられる.軟骨内部の水分子は細胞膜や細胞外基質(コラーゲン,プロテオグリカン)によって運動が複雑に制限されるため複数の拡散成分を示す.本年度の研究では軟骨組織中の水分子の制限拡散現象に着目した,軟骨組織のマイクロスケールでの組織構造評価法の可能性を検討した.軟骨組織モデルはアガロースゲルによる3次元培養法を用いて作製した.軟骨細胞は仔ウシ関節部より採取した軟骨片から酵素的に抽出した.抽出された細胞の懸濁液と低融点のアガロース溶液を混合することで軟骨細胞・アガロース複合体を作製し,これを37℃,5%CO_2環境下で培養した.その結果,軟骨組織モデルでは信号減衰は培養日数に関わらずbiexponentialは変化を示し,拡散成分にfast componentとslow componentが存在することが明らかになった.その一方で,生体軟骨は非線形な信号減衰を示した.これらの結果よりbiexponentialな信号減衰の示す2種類の拡散成分を測定することで組織工学的に再構築される再生軟骨の微細構造が評価できる可能性が示唆された.
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