Research Abstract |
本研究では.医療手技を定量的に評価するための装着型姿勢センサの開発と,それから得られるデータより手技を評価するシステムの構築を目的としている,2010年度は,開発した姿勢センサとシステムの実証実験および応用分野の開拓に注力した. まず,実証実験としては,九州大学医学部の協力のもと,腹腔鏡手術訓練時の熟練医と未熟医の動作計測を行った.その結果,評価タスクを行う際,熟練医は左右の腕を同程度の割合で使用しているのに対して,未熟医は利き腕を使用している割合が高いことが確認された.これより,タスク実施中の利き腕の使用割合は,腹腔鏡手術手技の評価に有用であることがわかった.また熟練医は,手首の使用頻度が高いことも判明した.応用分野の開拓としては,ロボットをメディアとした遠隔地会議システムにおいて,ユーザの動作を計測するツールとして装着型姿勢センサの使用を提案した,そして,研究連携者の石井裕之をデンマークとドイツに派遣し,そこで計測した姿勢センサのデータをインターネット経由でリアルタイムに日本へ送信する実験を実施した.その結果,受信データに遅延と歪みが含まれるものの,姿勢センサで計測したデータをインターネット経由で海外に送信可能であることが確認された. 以上より,本研究課題では,研究の目標としていた医療手技評価・訓練システムの構築を達成することができたと結論付ける.さらに,遠隔地会議システムへの応用についても,可能性が示された.
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