2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工転写調節因子の設計と細胞内センシング及び機能制御基盤技術の開発
Project/Area Number |
20700389
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
三上 あかね National Institute for Materials Science, 生体材料センター, NIMSポスドク研究員 (70469782)
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Keywords | 細胞機能制御 / 細胞センシング / 発現制御 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究では、任意の分子を認識する転写調節因子を設計し、これを用いたユニバーサルな細胞内センシング基盤技術及び細胞機能制御基板技術の開発を目的とする。平成20年度は、多様な標的分子に対応するユニバーサルな遺伝子発現制御技術に用いるための新規転写調節因子(Transcriptional regulator, TR)として期待される基質結合タンパク質(Substrate binding proteins, SBPs)とLacI型転写調節因子(Lacl-family transcriptional regulators, LRs)を用いたキメラ蛋白質(SBP-LR chimeric proteins, SLCPs)の設計法及び、大腸菌組換え蛋白質を用いたin vitroでの機能評価、更に動物細胞におけるSLCPのTRとしての機能の評価を行った。 1. <SLCPの設計及び構築> SLCPのモデルとして、分子計算を用いて大腸菌由来LacIとグルコースをリガンドとするSBPのSLCPを設計した。モデリング結果を基に、標的分子に対応したSBPへの挿げ替を可能とするSBPコード領域の5'-および3'-末端に制限酵素サイトを挿入したSLCP遺伝子(SLCPカセット)を作製した。 2. <In vitroにおけるSLCPの特性検討>大腸菌組換えタンパク質を用いた特性検討の結果、SLCPは、挿入されたSBP のリガンドであるグルコースに対する結合能及び、グルコース非存在下におけるLacIオペレータ特異的なDNA結合能を示した。またグルコース存在下ではDNAへの結合は見られなかった。以上の結果よりin vitroにおいてSLCPが、TRの特性を有すことが示された。 3. <動物細胞内におけるSLCPの機能評価>上流にLacオペレータを融合したルシフェラーゼ発現ベクターとSLCP発現ベクターを動物細胞にコトランスフェクションし、SLCPのリガンドであるグルコース濃度が異なる数種類の培地でインキュべートした。細胞破砕液のルシフェラーゼ活性を測定したところ、培地中のグルコース濃度依存的なルシフェラーゼ活性の増大がみられ、SLCPが動物細胞内においてもTRとして機能することが示された。 以上、平成20年度の研究により設計されたSLCPがin vitro及び動物細胞内においてTRとして機能し、SLCPに基づく遺伝子発環制御システムが構築可能であると示された。
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Research Products
(9 results)