2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁図を用いた前頭連合野における高次脳神経活動の加齢性変化の検討
Project/Area Number |
20700392
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柏原 考爾 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 研究員 (40463202)
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Keywords | 脳・神経 / 認知科学 |
Research Abstract |
前年度に提案した新たなワーキングメモリ課題を応用することで、大脳皮質における前頭連合野の働きを検討した。この課題では、2次元や3次元の図形を頭の中で操作すること(メンタルイメージによる図形の移動や構築)が要求される。そのため、前頭葉における単純な記憶保持よりも、さらに高度な認知思考過程を定量的に検討することが可能となる。複数の平面図形を手がかりとして、3次元形状を頭の中で構築するためには、前頭葉のみならず、視覚野・頭頂葉(空間処理)・側頭葉(形状認識)等、多くの脳内処理と相互作用性を要することが示唆される。しかし、脳神経活動のダイナミクスは複雑で捉え難く、前頭連合野内の働きは不明な点が多い。そのため、素早く変化する脳神経活動を反映する頭蓋骨上の電位変化を、高い時間解像度で計測した。神経活動のダイナミクスを検討する手法として、ウェーブレット変換による時間周波数解析を用いた。その結果、複数の平面図形から3次元物体をメンタルイメージする際、前頭葉(Fz領域)におけるシータ帯域(4-8Hz)の脳神経活動が、視覚野(Oz領域)や頭頂葉(Pz領域)と比べて活性化することが示唆された。また、このメンタルイメージ課題には、カラー図形による奥行き手がかりが、有効な指標となることを定量的に示した。さらに、高齢者を含む健常者の適度な運動が、高次な認知思考過程における脳活動に及ぼす効果と、病態下での自律神経活動の働きに着目した調査研究を行った。
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