2008 Fiscal Year Annual Research Report
サケ皮由来伸縮性コラーゲンを用いた生体置換型人工血管の開発
Project/Area Number |
20700393
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 展裕 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (30400039)
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Keywords | サケ皮コラーゲン / 人工血管 / 再生医療 / 組織工学 / 血管再生 / 生体置換 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまでの研究で明らかとなった伸縮性サケコラーゲンゲル(e-Gel)製人工血管の3つの課題、(1)抗血栓性メカニズムの解明、(2)移植時縫合性の改善、(3)内皮細胞接着性の改善、を解決し、世界初の小口径-生体置換型人工血管の実用化を目指すことである。H20年度は(2)を解決するために、コラーゲンの重合反応促進とエラスチン混合を検討し、e-Gelチューブの引裂強度改善検討を行った。コラーゲンの重合反応促進では、コラーゲンの重合(線維化)における温度、塩濃度、コラーゲン濃度、架橋剤濃度の最適化を行った。その結果、コラーゲン濃度を従来の0.2%から1.2%に増加することによって約4倍引裂強度が増加した。このとき架橋剤を入れるタイミングをコラーゲン重合前から重合後に変更することによって1.2%e-Gelチューブを作成できることがわかった。また、温度と塩濃度は従来条件が最適であることを確認した。次にエラスチン混合では、まずエラスチンの重合(コアセルベーション)条件を検討した。その結果、エラスチンはコラーゲン重合と同じ線維化バッファーで重合することがわかった。次にコラーゲンとエラスチンの共重合を検討した結果、コラーゲン: エラスチン=1 : 3.2以上で混合するとコラーゲンの重合が阻害されることがわかった。最適な混合比1 : 0.8で作成したコラーゲン/エラスチン共重合チューブの引裂強度を測定した結果、エラスチン混合によって引裂き強度が低下することがわかった。また、血小板接着がエラスチンによって促進されるという課題が残った。以上より、引裂き強度改善にはコラーゲン濃度アップが効果的であることがわかった。今後は移植による縫合性の確認を行う予定である。
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Research Products
(3 results)