2010 Fiscal Year Annual Research Report
サケ皮由来伸縮性コラーゲンを用いた生体置換型人工血管の開発
Project/Area Number |
20700393
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 展裕 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30400039)
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Keywords | サケ皮コラーゲン / 人工血管 / 再生医療 / 組織工学 / 血管再生 / 生体置換 / 抗血栓性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまでの研究で明らかとなった伸縮性サケコラーゲンゲル(e-Gel)製人工血管の3つの課題、(1)抗血栓性メカニズムの解明、(2)移植時縫合性の改善、(3)内皮細胞接着性の改善、を解決し、世界初の小口径-生体置換型人工血管の実用化を目指すことである。前年度まで、FNコートによる内皮細胞の接着性改善および、コラーゲン濃度アップ/架橋剤濃度最適化による引き裂き強度改善を報告した。H22年度はさらなる強度改善・縫合性改善を目指し、コラーゲン線維の配向制御、および有機ナノチューブの混合化を検討した。コラーゲン線維の配向制御は、コラーゲンゲルを作成する際に、流れを付加することで流動方向への線維配向を促進した。さらに、そのゲルの上に90度傾けた垂直方向に流れを付加し、最初の配向と垂直方向に配向させた。これを数回繰り返し、ラメラ構造を持つコラーゲンチューブを作成した。電子顕微鏡観察の結果、コラーゲン線維の配向が90度ずつ交互に向きを変えたラメラ構造を有していることを確認した。さらに、引張強度試験の結果、配向制御していないものと比較して高いことを確認した。次にゲルの作製前に有機ナノチューブ(NT)を混合する検討を行った。NT混合はコラーゲン線維化を抑制しないことを確認した。また、混合によって引き裂き強度を改善することができた。NTは官能基を有するため、架橋剤によってコラーゲンと架橋を形成していることが示唆された。一方、血小板接着試験を行った結果、NT混合によって若干の血小板接着増加を認めた。従って、血小板接着を増加させない程度に混合することにした。以上の強度改善を行ったチューブをラット腹部大動脈に移植し、長期の開存性を観察中である。
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Research Products
(1 results)