2011 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍部到達後にサイズと表面性状を自発的にリモデルするナノ粒子薬剤キャリアの作製
Project/Area Number |
20700400
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Research Institution | 公益財団法人がん研究会 |
Principal Investigator |
松村 幸子 公益財団法人がん研究会, がん研究所・蛋白創製研究部, 研究員 (90414052)
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Keywords | ドラッグデリバリー / ナノ粒子 / ペプチド / がん / マトリックスメタロプロテアーゼ / カーボンナノ粒子 / フェリチン / 環境応答性 |
Research Abstract |
体内に投与された薬剤キャリアが腫瘍部に到達後に、腫瘍部への集積やがん細胞との親和性が向上するような性状に変化することは、薬剤の腫瘍部への集積性を高めるために必要である。昨年度までは、直径約100mmのカーボンナノ粒子に着目し、種々の表面修飾を行ってきたが、本年度は、よりサイズの小さいナノ粒子として、直径約13nmの球状タンパク質であるフェリチンを用いて検討を行った。フェリチン表面に、細胞膜透過性ペプチド・プロッカー分子・酵素基質ペプチドを修飾し、マトリックスメタロプロテアーゼー2の活性により細胞膜透過性をon/offできるスイッチ機能をもたせたフェリチンの作製を試みた。マトリックスメタロプロテアーゼー2は腫瘍部で高発現している酵素の一つである。ブロッカー分子とペプチドの複合体に蛍光ラベルしたものを化学合成し、フェリチン表面にリンカーを介して化学修飾した。この修飾フェリチンの粒経は約22nmであった。修飾フェリチン溶液にマトリックスメタロプロテアーゼー2を添加すると、ブロッカー分子が切断されることをSDS-PAGE等により確認した。がん細胞を培養する培地に修飾フェリチンを添加し、蛍光顕微鏡観察を行ったところ、マトリックスメタロプロテアーゼー2とインキュベートしたフェリチンはがん細胞に取り込まれた。マトリックスメタロプロテアーゼー2によりプロッカー分子が切断され、細胞膜透過性ペプチドの機能によりフェリチンががん細胞に侵入したと考えられ、がん環境因子のひとつである酵素に応答してナノ粒子の細胞透過性をon/offできる可能性が示唆された。
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