Research Abstract |
本研究では安全で容易な挿入が可能な可変剛性型の大腸内視鏡の開発を実施した.本内視鏡は,空気圧によって任意に剛性を変化させられることが可能な剛性変化デバイスを複数用いることで構成される.そのため,内視鏡の各部の剛性を変化させることが可能であり,容易な挿入が実現できる.本年度の実施内容は以下である. 1.可変剛性大腸内視鏡の改良 昨年度までに開発した可変剛性大腸内視鏡では,大腸ファントムを用いた実験において横行結腸部までの挿入に留まっていた.この要因として,剛性変化デバイスの最大剛性が十分ではないことが考えられた.このため,本年度は,まず,最大剛性を向上させるため剛性変化デバイスを構成するゴム材料の変更を行った.基礎実験を行った結果,ゴムの硬度を変更することによって,これまでのデバイスと比較し,およそ1.8倍高い最大剛性が確認された.また,この剛性変化デバイス8個を直列に配置することで,新たな可変剛性大腸内視鏡を製作した. 2.大腸ファントムを用いた挿入実験 7人の大腸内視鏡挿入未経験者によって,大腸ファントムへの挿入実験を実施し,本内視鏡の有効性を調べた.各デバイスへは隣り合うデバイスと逆位相であるパルス状の空気圧を印加する,これによって,デバイスは低剛性と高剛性を交互に繰り返し駆動される.印加した最大圧力は200kPaG,最小圧力は-50kPaGであり,周期は10秒である. 実験を行った結果,全てのオペレータが大腸の最深部まで内視鏡を挿入することが可能であり,また,挿入に要した時間は,最短2分4秒.最長7分41秒であり,平均4分59秒であった.この際,オペレータは内視鏡を順手で保持し,前方向へ押し込むのみであり,既存の大腸内視鏡と比較して,非常に容易な挿入が可能であった.
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