2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍患者MRIデータからの脳溝同定システムの開発
Project/Area Number |
20700411
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
上野 育子 Iwate Prefectural University, ソフトウェア情報学部, 客員教員 (20468317)
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Keywords | 医用画像処理 / MRI / 中心溝 / 脳溝 / 脳神経外科 |
Research Abstract |
平成20年度は、以下の5項目について研究を行い、学会や誌上発表を行った。1.脳領域抽出の改善 : これまでの研究で高精度な脳領域抽出が可能となったが、脳変形を伴う脳腫瘍症例では、脳に隣接する硬膜を誤抽出する場合があった。これに対して平成20年度の研究では、誤抽出した領域の輝度特性を利用したフィルタ処理と膨張・収縮処理の併用手法による誤抽出領域の除去を行い、より精度の高い脳領域抽出が可能となった。2. 中心溝の位置検出の改善 : これまでの研究では高い確率で中心溝の位置推定を行うことが可能となったが、この位置検出率をより高めるために平成20年度では、角度情報を利用した中心溝の存在範囲の絞込みや、血管領域を考慮した脳溝抽出処理の改善などを行った。3. 脳溝の同定 : 従来研究の脳溝分類では、脳溝の位置関係だけを利用した手法であり、腫瘍によって押しつぶされ、脳溝が抽出できない場合には、その脳溝だけでなく周辺の脳溝までも特定が困難になるという問題があった。平成20年度での研究では、2の中心溝の位置検出改善で用いた角度情報を基にした処理により、様々な方向に走行する脳溝を区分することが可能となった。これらの情報を基に、各脳溝を同定できるよう引き続き研究を進めている。4. 効果的な3次元可視化手法の提案 : 平成20年度では、脳溝とそれ以外の領域とのコントラストを高くする手法を提案し、これまで以上に脳溝の明瞭な3次元表示を可能とした。5. 脳外科医による評価 : 1〜4に対して客観的評価を行うとともに、脳外科医からも評価を受けた。改善すべき点については、今後の課題とする。これらの研究成果については、次項11に記載する学会や論文誌にて成果発表を行った。
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