2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700418
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新田 尚隆 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 人間福祉医工学研究部門, 研究員 (60392643)
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Keywords | 超音波 / 音場 / 可視化 / 磁気共鳴イメージング |
Research Abstract |
超音波音場を計測する際は、一般に水中にてハイドロホンや光学的手法など用いるが、これらの手法を生体内へ適用することは非常に困難である。生体内では、回折や屈折、組織の音速差などの影響により、水中計測で予見された超音波音場とは異なる分布を呈する。従って、生体内での超音波音場が無侵襲で捉えられれば、それをフィードバックして開口合成時の位相歪み補正や集束超音波治療における焼灼域の高精度化、アーチファクトを除去した超音波イメージングの高精細化など、超音波医学全般に寄与することが期待される。そこで本研究では、ハイドロホンや光学的手法に代わってMRIを用い、生体組織内部における超音波音場及び超音波伝搬の可視化技術の確立を目的とした。 超音波音場及び伝搬可視化技術の開発にあたり、音響放射力による微小変位をMRIで捉えるためには、微弱なMR信号を高感度にて捉える必要がある。そこで、捕捉されるMR信号に必要なSNRについて計算機シミュレーションにより検討した。また、超音波音場の時間変化を捉えるためのゲート制御方式についても計算機シミュレーションにより検討した。以上検討したSNR及びゲート制御方式を反映したMR信号の捕捉・制御系を構築するため、ゲート信号発生器を導入した。 その後、円筒形の寒天ファントムを対象とした予備実験を行った。MRI装置としては、現有の動物実験用MRI装置(Bruker、BIOSPEC 20/30、2 Tesla)を用い、ファントム内部へ超音波放射を行いながら撮像を試みた。その結果、得られたMR画像上において音場パターン可視化の可能性が見出されたが、その一方で、SNRのさらなる改善や位相における折り返しの影響除去など、今後解決すべき課題も抽出された。
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