2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700418
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新田 尚隆 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 人間福祉医工学研究部門, 研究員 (60392643)
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Keywords | 超音波 / 音場 / 可視化 / 磁気共鳴イメージング |
Research Abstract |
超音波音場を計測する際には、一般に水中にてハイドロホンや光学的手法など用いるが、これらの手法を生体内へ適用することは非常に困難である。生体内では、回折や屈折、組織の音速差などの影響により、水中計測で予見された超音波音場とは異なる分布を呈する。従って、生体内での超音波音場が無侵襲で捉えられれば、それをフィードバックして開口合成時の位相歪み補正や集束超音波治療における焼灼域の高精度化、アーチファクトを除去した超音波イメージングの高精細化など、超音波医学全般に寄与することが期待される。そこで本研究では、ハイドロホンや光学的手法に代わってMRIを用い、生体組織内部における超音波音場及び超音波伝搬の可視化技術の確立を目的とした。 これまでに構築した超音波音場可視化システムにおいて、超音波音場を実際に可視化するためのMR信号処理方式について検討した。現有の動物実験用MRI装置(Bruker, BIOSPEC 20/30, 2T)から得られる、超音波振動によるプロトンの空間変位を反映したMR信号のSNRを改善するために、2位相ロックインアンプを導入した。また、MRIガントリー内の超音波プローブを保護するためのパルスシーケンスについても検討した。構築した音場可視化システムの実現可能性について、寒天ファントムや純水ファントムを対象とした実験的検討を行った。直径40mm、長さ100mmの円筒PP容器内にファントムを封入し、1MHz、2.25MHz、3.5MHz、5MHzの超音波プローブを用いて容器内に超音波を放射した。その結果、理論的な音場パターンとよく相関するコントラストを持つMR画像が得られた。さらに、空間的に不均質な音響特性を持つ媒体として、PVDC薄膜を入れた純水ファントムを用い、超音波照射を行った。その結果、薄膜での反射がMR画像上におけるコントラストの違いとして明瞭に描出された。
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