2008 Fiscal Year Annual Research Report
心臓リハビリテーションにおける組織NO系の役割の解明
Project/Area Number |
20700422
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 大亮 Tohoku University, 病院, 理学療法士 (50466570)
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Keywords | NO / NOS / 心筋梗塞 / 心臓 / 腎臓 / 運動 / 心臓リハビリテーション |
Research Abstract |
心筋梗塞モデルラットにおける心臓・腎臓のNOS系に与える影響の検討 心筋梗塞モデルラットにおいて、心臓、腎臓のNO系への影響を検討した。7週齢の雄ラットの左冠動脈前下行枝を結紮して心筋梗塞モデルラットを作成し、コントロール群と心筋梗塞群に分けた。心筋梗塞手術後約2カ月でペントバルビタール麻酔下超音波検査による、左室壁厚および左室収縮期および拡張期内径の測定を実施し、心筋梗塞群での心肥大や心機能の低下を認めた。その後、コントロール群と心筋梗塞群から心臓、腎臓(皮質、髄質外層、髄質内層)を摘出し、NOについて生化学的に検討した。NOの合成酵素であるeNOSおよびnNOSの組織における発現をウェスタンブロット法により検討した。結果、心臓(左室)、腎髄質において、eNOS、nNOS蛋白いずれも心筋梗塞群においてコントロール群と比較して有意に低下していた。 心筋梗塞モデルラットにおいて、心筋でのNOS蛋白低下の報告はあるが、腎臓で低下するとの報告はこれまでになく、本研究で初めて明らかとなり、心筋梗塞による腎障害の機序の一つである可能性が示唆された。今後、心筋梗塞モデルへの長期的運動によりこれらNOS蛋白の低下が改善する(増強する)との仮説により、来年度以降、心筋梗塞モデルにトレッドミルによる長期的運動を施行し、研究を進行する。本研究により、心筋梗塞モデルでの長期的運動の有効性の機序が明らかになることで、心筋梗塞後の、運動耐容態を促進かつ心臓、腎臓などの臓器を保護する運動療法が確立されると予想され、リハビリテーション分野で臨床応用も将来可能になると期待される。また、最低強度かつ最短時間の運動であっても運動耐容態向上を最大限促進できる効率的な運動療法を確立することにより、患者のQOLや治療法選択意欲にも配慮した、真の意味でのリハビリテーション医学の発展にも繋がると思われる。
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