2010 Fiscal Year Annual Research Report
心臓リハビリテーションにおける組織NO系の役割の解明
Project/Area Number |
20700422
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 大亮 東北大学, 病院, 理学療法士 (50466570)
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Keywords | Nitric Oxide / Nitric Oxide Synthase / 心筋梗塞 / 心臓 / 腎臓 / 運動 / 心臓リハビリテーション |
Research Abstract |
心筋梗塞モデルラットにおける長期的運動が心臓・腎臓のNitric Oxide系に与える影響の検討 心筋梗塞モデルラットにおいて、長期的運動が心臓、腎臓のNitric Oxide(NO)系へ与える影響を検討した。5週齢の雄ラットの左冠動脈前下行枝を結紮して心筋梗塞モデルラットを作成し、1カ月後、Sham群と心筋梗塞群に分け、更に、各々、安静群と運動群に分け、運動群にはトレッドミル運動(20m/分、60分/回、6回/週)を4週間施行した。プロトコール8週間後、超音波検査による、心機能検査を実施し、心筋梗塞群で心肥大や心機能の低下を認め、心筋梗塞運動群では心機能の改善を認めた。また、血漿BNPも、心筋梗塞運動群で有意に改善を認めた。また、腎機能の評価としての、クレアチニンクレアランス値において、心筋梗塞運動群で有意に改善を認めた。NO系の生化学的検討では、NOの合成酵素(Nitric Oxide Synthase ; NOS)である内皮型NOS ; eNOS、神経型NOS ; nNOSについて、左室、胸部大動脈、肺、腎の各組織(皮質、髄質外層、髄質内層)において、心筋梗塞群で有意に減少、心筋梗塞運動群で有意に増強を認めた。心筋梗塞モデルの心筋でのNOS低下の報告はあるが、腎臓で低下するとの報告はこれまでになく、また、心筋梗塞への長期的運動介入によりNOSが誘導されるとの報告も、これまで一切報告がなく本研究で初めて明らかとなった。 本研究により、心筋梗塞モデルでの長期的運動の有効性の機序が明らかになることで、心筋梗塞後の、運動耐容能を促進かつ心臓、腎臓などの臓器を保護する運動療法が確立されると予想され、リハビリテーション分野で臨床応用も将来可能になると期待される。
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