2009 Fiscal Year Annual Research Report
股関節疾患患者における歩行能力の改善に向けた体幹-下肢筋協調性の解析
Project/Area Number |
20700424
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
建内 宏重 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (60432316)
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Keywords | 歩行分析 / 股関節 / 人工股関節置換術 / 骨盤・体幹 / 動作解析 / 変形性股関節症 |
Research Abstract |
本研究では、人工股関節全置換術後の患者を対象として、股関節-骨盤・体幹との協調性を解析した。 人工関節術後患者の過去の歩行分析によると、健常者と比較して股関節伸展角度の減少および骨盤前傾角度の増加が指摘されている。このことは、股関節と脊柱との関連性において、骨盤・脊柱へのストレスを増大させる一要因になっていると考えられる。そこで今回は、股関節と・骨盤・体幹の協調性に関しては、股関節の他動的関節可動域、歩行時の股関節角度、股関節の動作時のスティッフネスと歩行時の骨盤傾斜角度との関連性を分析した。その結果、立位よりも歩行時に骨盤が大きく前傾する患者では、股関節伸展方向の動作時のスティッフネス(関節角度の変化量あたりのモーメント変化量)が増大していることが明らかとなった。すなわち、動作時の股関節のスティッフネスが高まっていると静的な姿勢を保持している時よりも動作時により骨盤の前傾角度が強まってしまうことになり、骨盤の前傾を通じて脊柱へのストレスを増大させてしまう可能性がある。今回の研究では、他動的に測定した関節可動域と骨盤傾斜角度との間には明らかな関連性を認めなかったことから、他動的な関節可動域を増加させるだけでは、動作時の骨盤傾斜角度の増加を抑制することは困難であり、動作時のスティッフネスという新たな指標に着目することの重要性が示唆された。
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