2008 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸器におけるプロトン感受性イオンチャンネルの分布と発生
Project/Area Number |
20700429
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
菊池 真 Sapporo Medical University, 医学部, 助教 (20404585)
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Keywords | ASIC2 / 線毛 / 鼻中隔 / 免疫組織化学 / イオンチャンネル / 発生 |
Research Abstract |
リハビリテーション分野における呼吸理学療法手技は排痰に対して有効な手技である。組織学的には気管に存在する線毛の動きが排痰に寄与すると考えられている。この線毛の動きは培養細胞でも観察されることから、線毛部に外部環境の変化を感知する受容器(レセプター)が存在することが指摘されてきた。そこで我々は、proton-gated ion channelの1つであるAcid-Sensing Ion Channel 2(ASIC2)に着目し、ASIC2が存在することを確認した。理学療法学の分野において運動器や感覚器における受容器を、組織学的に研究している報告は多数みられるものの、呼吸器やその他の器官において、組織学的レベルの研究を理学療法の視点で行っている報告は少ない。そこで、発生学的にASIC2の発現する時期を同定することを目的とした。 試料は胎生(E)14から21および生後直後(PO)と2週間経過(P14)した幼若ラットより取り出した鼻中隔とした。 ASIC2の発現の観察は蛍光免疫組織化学染色を用いた共焦点顕微鏡により、鼻中隔上皮の発生過程における形態学的観察は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により行った。その結果、ASIC2の発現は鼻中隔線毛細胞の発生過程でみられる一次線毛およびE17でみられる未熟な線毛にはみられなかったが、E18以降の線毛では発現がみられた。ASIC2は比較的低いpHに依存しているとの報告があることから、ASIC2は出生前の完成された線毛に発現し、酸性環境をはじめとする、なんらかの外部環境刺激に対して、出生直後から関与している可能性が推察された。
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