2010 Fiscal Year Annual Research Report
過敏性腸症候群に対する作業療法の神経心理学的効果検証
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20700440
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
小川 豊太 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (80296186)
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Keywords | 作業療法 / リハビリテーション / ストレス / 過敏性腸症候群 / 神経科学 / 消化器 / 心身症 / 脳腸相関 |
Research Abstract |
本研究は、過敏性腸症候群(IBS)有症状者を対象として作業療法を行い、その効果を検証した。本研究対象者は一般成人市民ならびに消化器心療内科を受診する患者を研究対象者とし、症状の重症度、性別、年齢、病悩期間、治療を調査した上で作業療法介入群と対照群に試験割り付けを行った。 20歳代~30歳代の健常者群10名とIBS群20名の無刺激時と心理ストレス刺激時の脳血流量、唾液中クロモグラニンA、心理検査を実施した。また、IBS有症状者に対して作業療法により4週間介入し、その間の心理指標と生理指標を記録した。作業療法介入法は治療時間1回あたり40分間のパッケージとし,1)性格傾向・興味関心評価(活動内容決定)、2)骨格筋ストレッチ(リラクセーション)、3)腰部体操、4)手工芸・陶芸等とした.介入期間は1週間に3~5回の頻度で4週間とした. 作業療法介入の短期効果として、心理ストレスマーカーであるクロモグラニンAのタンパク補正値は腰部体操直後に有意に低下し、非IBS群と比較して差はなかった。4週間の作業療法介入後、IBS群とIBS対照群との消化器症状ならびに心理検査の結果には有意な改善値は認められなかった。ストレス反応として記録した脳血流量の解析では有意な交互作用を認めた。また、IBS介入群には主観的な症状の緩和傾向が認められた。生理指標は介入期間中の活動量により大きく変動があった。介入群では作業療法に対する患者の効力感(活動が症状に奏効するという感じ方)が高い個体ほど心理ストレスに対する自律神経反応が減弱する傾向が認められた。 IBS有症状者に対する作業療法により、症状の一部に短期的な改善傾向が認められた。IBS症状の緩和にむけた生活習慣改善や運動介入、作業療法介入の余地があり、さらなる検証が期待される。
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