Research Abstract |
脳卒中患者の麻痺側上肢の感覚機能に対する明確なエビデンスを示した治療法は少なく,効果的な手法の確立が期待されている.今回,脳卒中片麻痺患者4名(男性3名,女性1名,年齢は44歳,68歳66歳,69歳,右片麻痺3名,左片麻痺1名,発症から調査開始までの期間は45日,30日,39日,24日)に対し,随意運動介助型電気刺激(Integrated Volitional control Electrical Stimulation : IVES),または治療的電気刺激(Therapeutic Electrical Stimulation : TES)を3週間行い,手関節の運動覚の変化を経時的に調査した.全症例とも入院時より1日に60分間,通常のOT訓練を週7日間実施し,訓練時間外に電気刺激療法を間欠的に3週間実施した.通常のOT訓練内容はROM訓練やファシリテーション,ADL訓練などであった.調査期間は8週間とし,通常の治療のみの通常治療期1(開始~3週),通常訓練に電気刺激療法を追加した電気刺激療法期(4~6週),さらに効果の保持を検討するために通常治療期2(7,8週)を設定した.使用機器はPower Assist Stimulation system (PAS,OG技研社製)を使用し,電極は前腕背側部(橈側手根伸筋,総指伸筋)に貼付した.なお,随意収縮を認める症例にはIVESを行い,随意収縮を認めない症例はTESを実施した.電気刺激療法の刺激時間は1日に20分間または60分間とした.IVES例は刺激時間に関係なく運動覚の向上を認めたが,TES例においては刺激時間が60分間の症例のみ改善を認めた.患者の意志に関係なく筋収縮が与えられるTESに比べ,随意収縮をトリガーとした電気刺激が得られるIVESは刺激時間に関係なく運動覚の改善が得られやすいと考えられた.しかし,今回は手関節背屈が行えない症例に対しTESを行ったため,麻痺レベルが同等の症例にIVESとTESを行い,効果を比較することや,多数例での検討を行う必要がある.
|