2009 Fiscal Year Annual Research Report
二重課題法による立位姿勢バランス訓練効果の検証および実施中の脳活動に関する研究
Project/Area Number |
20700451
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
冷水 誠 Kio University, 健康科学部, 助教 (40388905)
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Keywords | リハビリテーション / 脳・神経 / 立位姿勢制御 / 二重課題 |
Research Abstract |
本年度は,二重課題状況下での立位バランス保持中の脳活動を捉えることにより,脳活動レベルにおける二重課題バランス訓練の効果を検証した。対象者は健常大学生10名および健常高齢者10名とした。すべての対象者は,静的状況下(認知課題なし)および二重課題状況下(単純課題の同時遂行,認知課題の同時遂行)にて立位保持を実施した。二重課題状況下ではストループ課題を用い,条件1)色名と色文字が一致したストループ課題を遂行しながらの閉脚立位保持(単純課題条件),条件2)色名と色文字が異なるストループ課題を遂行しながらの閉脚立位保持(認知課題条件)の2条件にて実施した。各条件における立位保持中の脳活動を機能的近赤外光分光法装置(島津製作所FOIRE・3000)にて一次運動野から高次運動野および前頭前野における脳血流動態を測定した。その結果,条件1と比較して,条件2において内側前頭前野領域および右外側前頭前野領域において有意な活性化が認められ,左前頭前野領域,運動前野領域および運動野領域では増大傾向が認められた。内側前頭前野は感情的ストレスが加わったため,右外側前頭前野については空間的な注意および選択的注意機能との関連が深いとされているため,立位保持中の認知課題の負荷によって活性化したと考えられる。また,運動関連領野についても認知課題負荷によって増大傾向であったため,認知課題の負荷によって注意機能だけでなく立位保持という運動機能においても影響を及ぼしていると考えられる。本研究の結果より,立位保持中に課題を負荷することによって前頭前野を含めた脳活動の活性化をもたらすことが明らかにされた。これにより,これまで不明であった二重課題による影響を脳活動から明らかにすることができた。またこのことは,二重課題バランス訓練における効果が,注意機能を含めた脳機能においても効果を与える可能性が示唆された。
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