2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウォールクライミングを視覚障害者が自立して楽しむための情報伝達システム
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20700457
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
小林 真 筑波技術大学, 保健科学部, 准教授 (60291853)
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Keywords | ウォールクライミング / 視覚障害者 / 障害者スポーツ / 支援システム / テンプレートマッチング / ボルダリング |
Research Abstract |
本研究は、視覚障害者向けのスポーツとして注目されているウォールクライミングに着目し、彼らが自立して楽しめるような支援システムを開発することを目的としている。クライミングはその特性から視覚障害者に向いている障害者スポーツであるが、一人で戦術を立てることが困難であり、解決が望まれていた。本年度は実用性の高い安価なシステムの実現を目指し、昨年度から継続してボルダリングと呼ばれるトップロープを用いない水平方向への移動を伴う課題を対象としたシステム開発を手がけた。試作したシステムはクライマーの頸部の後ろにクリップで留められた二重丸のマーカをテンプレートマッチングにより検出し、その位置に適した音声案内をブレスレット型の無線スピーカから出力する。原理上、体幹が捻れた場合などにマーカを見失うケースが見られたものの、ほぼ指定した位置で音声案内を出力することができた。しかしブレスレット型スピーカの出力が当初の予想より低かったため、昨年度の骨伝導ヘッドフォンの方が音声の聞き取りは容易であった。一方、案内する音声の表現について、これまではセンチ単位で距離を表現することが良いとされてきたが、動きに応じて「もう少し」「もっと」といったあいまいな表現を重ねる方が好ましいことがクライマーへのインタビューから得られた。この支援方法の実現のためには、手足の位置を的確に検出する必要がある。今後の方向性として、屋内施設を利用したボルダリングに限れば、近年安価に入手可能になってきた赤外線レーザを利用したゲーム機器の利用を検討することが重要であると考えられる。
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