2008 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔コミュニケーションのための手話の実写立体映像の評価に関する研究
Project/Area Number |
20700458
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
若月 大輔 Tsukuba University of Technology, 産業技術学部, 助教 (50361887)
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Keywords | 立体映像 / 奥行映像 / 手話 / 手話通訳 / 聴覚障害者支援 / 遠隔情報保障 / 遠隔コミュニケーション |
Research Abstract |
これまでの実写立体映像は, ステレオカメラなどの複数のカメラで撮影した映像を縮小し, 1画面に合成して伝送する方法が主流となっている. しかし, 再生時にそれらの映像を元のサイズに引き伸ばして表示するため解像度低下を招き手話が読みづらくなる可能性がある. そこで, 本研究では赤外線によるTOF(Time of Flight)方式の奥行カメラと, カラーカメラを組み合わせたリアルタイム立体映像撮影カメラを構築し, カラー映像に奥行映像を合成することで解像度低下をできるだけ抑えることができる伝送方法を提案した. 提案方法ではカラー映像に対して, よりサイズの小さい奥行映像を合成してカラー映像の解像度低下を抑える. 試作したシステムではカラー映像のサイズが1600×1200, 奥行映像のサイズが176×144で撮影することができる.手話の立体映像に関する実験を行う前に奥行映像のサイズが立体映像に与える影響を調査するための実験を行った. 奥行映像のサイズを段階的に切り替えて立体映像を提示する評価を行った結果, 試作システムの奥行映像のサイズ(176×144)でほぼ違和感なく立体映像を観察できることがわかった. 試作システムで撮影・提示される手話の実写立体映像について, 遠隔手話通訳を想定して実際の大学の講義を通訳してもらった立体映像をあらかじめ撮影しておき, それを刺激映像として被験者に提示する実験を行った. その結果, 個人差はあるが立体感が正しく得られた被験者では立体映像の方が手話や指文字が読みやすく, 講義の流れをつかみやすくなる傾向があることが明らかとなった. 本研究では, カラーカメラと奥行カメラを用いて実写立体映像のリアルタイム撮影, 伝送が可能な方法を提案した. 実際にシステムを試作し, 違和感の少ない立体感が得られることを確認した. また, 遠隔手話通訳を想定した実験を行い, 立体映像が手話の可読性を向上するために有効であることが示唆された.
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