2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの脳内情報処理過程に対する一過性の運動効果の解明
Project/Area Number |
20700473
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
東浦 拓郎 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 準研究員 (50436268)
|
Keywords | 脳内情報処理過程 / 一過性の運動 / P3 / 随伴陰性変動(CNV) / 覚醒水準 / 認知処理過程 / 反応抑制過程 / 反応準備過程 |
Research Abstract |
ヒトの脳内情報処理過程に対する一過性の運動効果を解明することを目的とし,本年度は一過性の運動が脳内情報処理過程に及ぼす影響の持続時間を検討した。 本研究は精神疾患や神経疾患の既往歴のない若年者14名を対象に実施された。本研究は運動を行わずに約30分間隔でGo/NoGo反応時間課題を行うコントロール条件と,30分間の中強度運動前後及び運動終了後約30分の時点でGo/NoGo反応時間課題を行う運動条件で構成された。 その結果,反応時間はいずれの条件においても有意差が認められなかったが,覚醒水準の指標となる随伴陰性変動(CNV)の早期成分の振幅,刺激の認知処理に関わる神経活動を反映するGo P3振幅,反応抑制の機能を反映するNoGo P3振幅は運動直後で顕著に増大した。さらに運動条件において,反応準備過程を反映する後期CNV振幅は運動前に比べて運動直後及び運動終了後約30分の時点においても高振幅を示した。 以上のことから,本研究で実施した30分間の中強度運動は覚醒水準に影響を及ぼし,それに伴って刺激に対する認知処理過程や反応抑制,反応準備に関わる神経活動を賦活させたと考えられる。また,後期CNV振幅については運動直後のみならず,運動終了後約30分の時点においても高振幅を示し,刺激の認知処理過程と反応準備過程で一過性の運動に対する影響の現れ方が異なる可能性も示唆された。運動遂行には皮質運動関連領野(一次運動野,一次体性感覚野,前運動野,補足運動野など)に加えて小脳,大脳基底核,小脳などの皮質下部位も広汎に賦活する。これらの脳部位は後期CNVの発生にも貢献しており,一過性の運動の影響をより強く受けたのかもしれない。
|
Research Products
(10 results)