2008 Fiscal Year Annual Research Report
適応の観点からみた野外教育プログラムにおける「自然」の意味
Project/Area Number |
20700480
|
Research Institution | Tokoha Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
遠藤 知里 Tokoha Gakuen Junior College, 保育科, 講師 (90400704)
|
Keywords | 野外教育 / 適応 / 意欲 / 人間関係 / 自然環境 |
Research Abstract |
本研究は、子どもの「意欲」(積極的に何かをしようと思う気持ち)を育む身体教育活動として野外教育プログラムをとりあげ、「適応」の観点からその教育効果の解明をめざすものである。今年度は、1)先行研究のレビュー、2)研究協力者の選定、3)野外教育プログラム視察と聴き取り調査、を行う計画であった。1)については、野外教育における適応の問題に関する文献研究に着手した。自然環境の下での身体活動に関連した文献から、生理学、心理学、社会学の各立場から提示されている知見を整理し、野外教育実践上の今日的課題と関連づけて考察を進めている。2)3)に関しては、静岡県内で実施されたキャンプを研究対象として、課題I「自然環境への適応過程の検討」、課題II「適応経験の再構成過程の検討」、に関連する仮説の洗練を目的とした調査を実施した。適応と意欲の観点からレジリエンス(精神的回復力)と自己成長性に着目し、8泊9日のキャンプに参加した小中学生52名を対象とした質問紙調査を実施した。レジリエンス、自己成長性の各得点についてキャンプ初日と最終日を比較すると、共に有意な差が認められた。特にレジリエンスに関しては「前向き柔軟思考」、「状況打開意欲」、「感情調整力」に対する効果が顕著であった。このことから、キャンプでの体験はレジリエンスと自己成長性にかかわる自己意識に対して全体的に好ましい影響を与えるものであり、心理的適応の過程を明らかにするためには「前向き柔軟思考」、「状況打開意欲」、「感情調整力」について体験内容を踏まえた詳細な検討が必要との見通しを得た。また、同様の調査をキャンプ指導者に対しても実施し、レジリエンスと自己成長性の変化量に着目して質的データと関連づけた検討を行い、考察を進めている。今年度の研究計画の達成度は7割程度で若干の遅れがあり、次年度以降の研究計画について研究体制を含めた調整を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)