2011 Fiscal Year Annual Research Report
適応の観点からみた野外教育プログラムにおける「自然」の意味
Project/Area Number |
20700480
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Research Institution | Tokoha Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
遠藤 知里 常葉学園短期大学, 保育科, 講師 (90400704)
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Keywords | 野外教育 / 適応 / 意欲 / 人間関係 / 自然環境 |
Research Abstract |
本研究は、幼児期から青年期(20歳前後)の子どもおよび青年の「意欲」(積極的に何かをしようと思う気持ち)を育む身体教育活動として野外教育プログラムをとりあげ、「適応」の観点からその教育効果の解明をめざすものである。平成23年度は、青年期を対象としたプログラムの実践研究を実施した。青年期の参加者が自然環境に対する身体的・心理的順応を経て適応に至るプロセスと、その経験がその後の生き方態度や価値観に与える影響を検討するために、青年期(20歳前後)を対象としたプログラムでの調査を実施した。18歳-19歳の女子10名を対象として、3泊4日の雪上プログラムを実施し、活動期間中のふりかえりの内容から適応の過程を検討した。また、活動期間の前後および活動期間中における「気分」の変化について、二次元気分尺度(坂入ほか,2003),を用いて検討した。野外教育では体験の評価を自分の言葉で語る「ふりかえり」が重視されてきた経緯があり、指導者と仲間と共に体験をふりかえる場面で言語化された内容は、野外教育プログラムにおける自己の適応の過程を反映している。「自然環境」と「人間関係」は野外教育の基盤ともいうべき要素であるが、それらに対する「適応」の問題は、課題解決への意欲的取り組みへのレディネスにかかわる基礎的かつ重要な課題である。「未知の環境」に適応するための積極的な行動の機会が等しく与えられ、働きかけが成就して得られた適応感が何らかの心理的効果をもたらして意欲を喚起し、新たな課題への挑戦を可能することなのではないかと考えることができる。
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