2009 Fiscal Year Annual Research Report
「体ほぐし」の指導に資する心身一体観構築を企図したカリキュラム構成法の開発
Project/Area Number |
20700488
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Research Institution | Koriyama Women's Junior College |
Principal Investigator |
山口 裕貴 Koriyama Women's Junior College, 短期大学部・幼児教育学科, 講師 (50465811)
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Keywords | 体育科教育 / 「体ほぐし」 / 遊戯性 / 主体 / 体験型授業 / 身体観 / 現象学 / カリキュラム構成 |
Research Abstract |
当該年度は、西欧人哲学者(メルロ=ポンティ、アンリ、リシールなど)による著作文献調査によって、教員が、学習指導要領にある「心と体を一体としてとらえ」という文言の真意を認識し、「体ほぐし」のカリキュラム構成を行ううえで必須となる「身体観」の概念理解を促す哲学的分析を遂行した。以下、それによって得られた知見を述べる。 われわれは、何かに積極的に向かおうとするために「意図」を必要とするが、この意図とは、「行為から切り離されては、生まれることも、存続することもできないのであり、常に世界との相互作用として成立する行為から養分を汲み取り続ける」ことを求めている。意図を行為がつくり出すのなら、相互作用をより具体化する身体、行為を担いうる身体が不可欠となる。この視点を体育科教育で取り入れることによって、児童生徒は身体に内在する多くの実践知に目を向け、また新たな実践知を獲得し、それを「身体全体でわかっていくわかり方」として洗練することで自らの体を知的にしていけるのだと考えられる。こうした身体観に注目した教育は、体力の向上や生涯スポーツの態度育成に関わる体育科のあり方とは質的に異なり、「普通の経験における身体の厚みの痕跡という形で存在する」自己そのものをいま一度捉え直そうとするものである。「体ほぐし」においては何より、教員生徒ともどもが、私は私の身体のなかにおり、「私とは私の身体である」という根源的観念に立ち返り、体への見方を変え、体の気づきを思想的に考察する必要性を要求するものである。心と体が一体であることを問い返す以上に、思想と体験に基づく裏づけからそれらの関係性を理論的かっ感覚的に自覚することの方がむしろ重要なのではないか。
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Research Products
(5 results)