2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700489
|
Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
奥村 基生 Tokai Gakuen University, 人間健康学部, 助手 (90400663)
|
Keywords | 失敗 / 熟練 / 剣道 / 認知技能 / 運動技能 |
Research Abstract |
本年度の実験には男性の大学剣道選手16名(中級・上級群)が参加した.課題において参加者は協力者と対峙して構えた.協力者は参加者に対して実際に打撃と防御を指示する2通りの刺激を呈示した.この刺激の組み合わせによって単純反応と選択反応課題を設定した.また,この刺激の呈示には6通りのタイミングがあり,呈示タイミングの予測可能性を操作した.くわえて,3系列(たとえば,打撃-打撃-防御,打撃-防御-打撃)の順序効果を観察するために8通りの順序で刺激が呈示された.参加者には可能な限り速く正確に打撃と防御をするように教示した.結果では,いずれの課題においても上級群の成績がよいことがわかった.これは上級群の認知・運動技能が優れていることを示している.しかし,中級群は課題の試行において全て失敗するわけではなく成功する割合が低かった.すなわち,中級群は認知・運動技能を保持していないのではなく発揮できなくなることが多い.また,中級・上級群ともに呈示タイミングが予測可能な課題で成績がよく,単純反応課題において成績がよかった.つまり,動作の停滞の原因には刺激のタイミング予測と,打撃と防御という意味の異なる動作への注意の配分が影響を与えていると考えられた.現在は反応・運動時間などの収集データの分析から熟練水準の差異を検討している.また,実験結果によると反応を開始する前の運動や認知的な構えが,動作開始の遅延(遅れる)や動作の遅滞(遅くなる)の熟練水準の相違に関与していると想定されるため,今後はその実態について訓練可能性を含めて検討したい.
|