2009 Fiscal Year Annual Research Report
野球の打撃における動作分析を活用した指導方法の開発
Project/Area Number |
20700490
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川村 卓 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (30334056)
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Keywords | バッティング / キネマティクス / キネティクス / 野球 / コーチング |
Research Abstract |
本研究は野球選手の打撃フォームを詳細に検討し,指導ポイントを明らかにして,その知見を大学選手に処方することで技能の向上を図ることを目的とした.昨年度の上肢のキネマティクスからネティクスへと発展させた.そこでは「野球打撃動作におけるヘッドスピード生成に対する上肢関節の順動力学的貢献」を表し,バットにかかる左右の手の力を計測するセンサーバットを使って,運動依存力のバット速度への貢献が大きいことなどが示された.更に「左右各手のキネティクス的分析」を表し,バットの遠心力に対しての右打者の左手の力が大きく,また,左右手の偶力成分が大きいことを示した.特にスイング前半から中盤にかけてバットヘッドが先に速度が増加しないような左右手の偶力を使っていることなどが明らかとなった.これは指導でいわれるヘッドを遅らせる動き,いわゆる「インサイドアウト・スイング」を偶力によって行うことを示唆するものであり,指導の根拠を示すものである.一方で,スイング速度と体力の関係について調べ,「野球における打撃動作と体力要素の関連について」を表し,スイング速度は体幹の角速度と相関が高く,そのためには体重や体幹の回旋力が最も重要であることが示された.しかし,体幹回旋力はスイング方向だけでなく,逆方向の回旋力も相関が高いことなどが示され,打撃のトレーニング構築のために新たな知見となった.さらに,下肢のキネマティクスに関する基礎的な研究を進め,「野球の打撃におけるステップ幅の違いがスイング動作に与える影響」を表し,ステップの幅や重心移動速度がスイング速度に影響を与えないことなどを示した.最後に,これらバイオメカニクス的な知見から打撃指導への質的な検討を加え,「大学硬式野球選手の打撃指導に関する事例的研究-質的研究方法を用いて-」をまとめて発表し,これらの研究の総合的な知見を指導へと還元する研究に至った.
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Research Products
(8 results)