2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700503
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鯉川 なつえ 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70338424)
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Keywords | 女性アスリート / 月経コントロール / ピル |
Research Abstract |
女性アスリートにとって、正常に月経があることは望ましいことではあるが、大事な試合と月経が重なり、実力を発揮できないこともあり、女性アスリートにとって「競技パフォーマンスと月経」は細心の注意を払うべき問題といえる。女性アスリートの場合、月経異常(無月経等)の研究は数多くみられるが、具体的な対策事例や、競技パフォーマンスの向上を目的とした"月経コントロール"の方法論は確立されていない。なぜならば、トップレベルのスポーツに携わる指導者の多くは男性であるため、女性の月経現象について積極的に介入しない(できない)のではないかと考えられる。 そこで本研究は、正常月経を有する長距離ランナーを対象に、競技会に合わせて月経を移動させる"月経コントロール"を事例的に実施し、その方法論を確立させることを目的とした。 対象者は実業団女子長距離ランナー6名で、対象者の特性は年齢23.2±4.5歳、身長157.1±2.7cm、体重44.2±1.8kg、5000mのベスト記録15分50秒03±21秒60であった。 実験方法は、目標とする競技会の数日前に月経を終了させるために、中用量ピルを7日間服用させ3目間の休薬後に月経が開始するようコントロールした。対象者には、自作の調査票を用いて服薬から競技会までの主観的な体調を5段階で評価させた。 その結果、6名すべてにおいて予定通り月経がコントロールされた。体調については、服薬中と休薬中に差はなく、また月経初日は競技会当日に比べ有意(p<0.05)に悪かった。 以上のことから、本研究で実施した月経コントロールプログラムは、適正であったと考えられた。また競技会に合わせて月経をコントロールすることは、女性アスリートのコンディショニングに貢献する可能性が示唆された。
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