2010 Fiscal Year Annual Research Report
受傷選手の楽観性が影響を及ぼすコーピングスキルと心理スキルトレーニング
Project/Area Number |
20700511
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
直井 愛里 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (60411584)
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Keywords | スポーツ傷害 / 楽観主義 / コーピングスキル / 心理スキルトレーニング |
Research Abstract |
本研究の目的は、受傷選手の心理的特性(楽観性)が、コーピングスキル、感情、痛み、そして手術実施後の心身の回復にどのように影響を及ぼしているかを把握し、コーピング能力を効率的に高める心理スキルトレーニング(PST)を構築することである。平成22年度は、長期間のリハビリテーションを必要としている4名の受傷選手に対してPSTを提供し、このようなトレーニングが受傷選手の心身の回復にどのように影響するか検討した。PSTの内容は、目標設定、リラクセーション、イメージトレーニング、セルフトークであった。調査は約4週~6週ごとに3回(1回約30~90分)実施され、心理評価(1回目、3回目)、PSTの技法の習得(1回目、2回目)、並びに技法の振り返り(2回目、3回目)が行われた。心理評価は、心理的競技能力、気分、痛み、楽観性、コーピングの質問表を用いて実施した。これらの結果、3回目の調査(PST実施後)では、1回目の調査(PST実施前)に比べて否定的な気分が減少し、肯定的な気分が上昇したことが明らかになった。また、3回目の調査では、情報収集、気晴らし、肯定的解釈のコーピングが上昇し、カタルシスが減少したという知見が得られた。PSTの効果についての調査より、目標設定とイメージトレーニングが身体的、心理的な回復に効果があったことが明らかとなり、リラクセーション(自律訓練法)は、他の心理スキルトレーニングに比べて身体的、心理的な回復に関して効果が低いことが把握できた。さらに、目標設定においては、リハビリテーションに対するモチベーションが向上したことが明らかになった。今後は、本研究で得られた研究成果を学術論文として執筆・投稿し、アスリートやアスリートに関わる専門家に情報を提供していく予定である。
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