2011 Fiscal Year Annual Research Report
1950年前後の日本における学校体育実践に関する歴史的研究
Project/Area Number |
20700513
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
崎田 嘉寛 広島国際大学, 工学部, 講師 (60390275)
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Keywords | 学校体育実践 / 国立大学附属小学校 / コア・カリキュラム / 健康教育 |
Research Abstract |
本研究は、1949年から1953年を対象として、日本における学校体育実践がどのように展開されたかを実証的に明らかにすることを目的とした。 1.本年度は、昨年度までに収集し得なかった、1950年前後の学校体育実践に関する一次資料を収集する作業を行なった。 2.本年度に資料に基づいて、重点的に考察・検討した内容は、1950年前後の国立大学附属小学校(以下、附小)で展開されたコア・カリキュラム実践における学校体育の様相である。考察の結果は次の通りである。(1)コア・カリキュラム構成における学校体育に関する内容は、各附小が規定した中心課程の単元、周辺課程および行事等に分割・再編されていることが明らかとなった。しかし、運動領域(運動学習)に関しては、基本的に教科的な扱いがなされていた。(2)コア・カリキュラム構成における学校体育に関する内容を「健康教育」との関連から見た場合、体育科の拡大としての健康教育、健康教育に内包される体育科、体育科と健康教育の明確な分離といった多様な立場がとられていることが明らかとなった。このことは、今日の体育科教育における健康の位置づけを再考する視点を提供し得ると思われる。(3)コア・カリキュラム構想が学校体育の教科内容を発展させる可能性があったことを、具体的な事例から確認し得た。わずかではあるが一部の附小では、体育科以外の教科の視点からスポーツ・運動に関する学習内容を設定することを試みており、スポーツ・運動の文化的多様性を導出する一つの契機となりうる実践が展開されていた。このような実践が萌芽したことが戦後学校体育政策の成果であった反面、これらの実践が着目され、発展・成熟するにいたる土壌がなかったことに、当時の学校体育政策の限界があったと考えられる。
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