2009 Fiscal Year Annual Research Report
異なる酸素濃度環境を用いたスプリントトレーニング効果の検討と実践
Project/Area Number |
20700521
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
伊藤 穣 National Agency for the Advancement of Sports and Health, スポーツ科学研究部, 研究員 (00360727)
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Keywords | 酸素濃度 / 低酸素環境 / 発揮パワー / スプリントトレーニング / 筋中乳酸濃度 |
Research Abstract |
本研究の目的は,異なる酸素濃度(低酸素,高酸素)環境を用いて,スプリント能力の向上に役立つトレーニング方法について明らかにすること,および日本選手の国際競技力の向上に向け、世界に先駆けて実践することである。この目的を達成するため、本研究では,以下の課題を設定している。 研究課題1 異なる酸素濃度環境下におけるスプリント運動の負荷特性 研究課題2 異なる酸素濃度環境を用いたスプリントトレーニング効果の検討 研究課題3 異なる酸素濃度環境を用いたスプリントトレーニングの実践 このうち,平成21年度は,主に研究課題1および2について検討した。具体的には,男子学生12名を対象として,低酸素環境下(酸素分圧14.5%)および常酸素環境下において自転車エルゴメータを用いた30秒間の全力ペダリング運動を実施させた(研究課題1)。運動の前後に,筋バイオプシー法による筋サンプルの採取を実施することによって筋中エネルギー基質の変化を比較した。その結果,低酸素環境下におけるペダリング直後の筋中乳酸濃度は、常酸素環境下に比べて高値を示す傾向にあったことから、低酸素環境下は常酸素環境下に比べて、同じ全力運動であってもより大きな代謝的負荷を与えることのできる可能性が示された。一方、被検者のうち6名については、低酸素環境(3名)または常酸素環境(3名)において、全力ペダリング運動を用いた4週間のトレーニング(週2回)を実施させた(研究課題2)。トレーニングの前後に上記と同様の運動テストを実施し、その効果について検討した。その結果,低酸素環境下のトレーニングによって、発揮パワーが向上する傾向がみられたため、今後、被検者数を増やしてさらに検討していく予定である。
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