2010 Fiscal Year Annual Research Report
異なる酸素濃度環境を用いたスプリントトレーニング効果の検討と実践
Project/Area Number |
20700521
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
伊藤 穣 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 研究員 (00360727)
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Keywords | 酸素濃度 / 低酸素環境 / 高酸素環境 / スプリントトレーニング / 発揮パワー |
Research Abstract |
本研究の目的は,異なる酸素濃度(低酸素,高酸素)環境を用いて,スプリント能力の向上に役立つトレーニング方法について明らかにすることであった。 この目的を達成するため、本研究では,以下の課題を設定した。 研究課題1 異なる酸素濃度環境下におけるスプリント運動の負荷特性 研究課題2 異なる酸素濃度環境を用いたスプリントトレーニング効果の検討 研究課題3 異なる酸素濃度環境を用いたスプリントトレーニングの実践 このうち,平成22年度は,主に研究課題2および研究課題3について検討した。具体的には,男子学生15名を対象として,低酸素環境(6名)、高酸素環境(4名)または常酸素環境(5名)において、全力ペダリング運動を用いた4週間のトレーニング(週2回)を実施させた(研究課題2)。トレーニングの前後に、自転車エルゴメータを用いた30秒間の全力ペダリング運動を実施させ、ペダリングパワーの変化について調べた。その結果,被験者の最高パワーおよび平均パワーは、低酸素トレーニング群が最も高い伸び率を示した。一方、高酸素トレーニング群においては、最高パワーのみ向上する傾向を示し、運動後における血中乳酸濃度が他の群よりも高い傾向を示した。 一方、競輪選手3名を対象として、低酸素環境および高酸素環境を用いた週2回のスプリントトレーニングを行った(研究課題3)。その結果、ペダリングパワーに有意な変化はまだ認められていないが、スプリント後半のパワー持続能力が向上した気がするなどの内証報告が得られており、今後、さらに追跡していく必要がある。 以上のことから、本研究では、異なる酸素濃度環境を用いたスプリントトレーニングが、ペダリングパフォーマンスを改善する可能性が示された。しかし、その効果には個人差が大きいため、今後、酸素濃度及びトレーニング強度を調節するなどして、さらに検討していく必要があるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)