2009 Fiscal Year Annual Research Report
運動は肥大した脂肪細胞のアドレナリン受容体の代謝回転をどのように調節するのか
Project/Area Number |
20700528
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小笠原 準悦 Kyorin University, 医学部, 助教 (20415110)
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Keywords | 運動 / アドレナリン受容体 / 脂肪細胞 / 脂肪分解反応 / 肥満 / ポリフェノール |
Research Abstract |
【目的】 運動は、様々な細胞に生理生化学的な変化を惹起し、とりわけ脂肪細胞においては中性脂肪の合成能の低下や、脂肪分解反応の亢進を導くことから、肥満の予防や治療のツールと用いられている。本研究では、肥満により肥大した脂肪細胞の細胞応答性に焦点を当て、情報伝達機構の増幅機序の解明を目的とする。加えて、機能性食品との関係についても検討し、脂肪細胞が有する細胞応答性の分子機序の解明を目指す。 【平成21年度の結果】 本年度は、高脂肪食を摂取させた食事由来の肥満モデルマウスを作製し、薬理刺激による細胞応答性について検討した。非肥満マウスおよび肥満モデルマウスより単離した脂肪細胞をβ-アドレナリン受容体のアゴニストで刺激すると、両者において脂肪分解反応の著しい亢進を観察した。興味深いことに、低濃度のアゴニスト刺激に対する脂肪分解能は非肥満マウスの脂肪細胞に比べて肥満マウスの脂肪細胞で高いが、前者は濃度依存的な脂肪分解反応の亢進を生ずるにも関わらず、後者では高濃度の刺激に対する反応性は著しく低下した。この現象のメカニズムとして、アドレナリン受容体の機能を調節するタンパク質の局在の変化が関与することが明らかとなった。この結果は、肥満により肥大した脂肪細胞では、脂肪分解経路の増幅機構に抑制効果が生ずることを示唆している。 加えて、カテキンタイプのポリフェノールの添加もまた脂肪細胞の脂肪分解反応を亢進させることが明らかとなり、これはアドレナリン受容体を介する情報伝達経路とは独立した経路を賦活することにより生ずることが明らかとなった。これらを受け、平成22年度は一過性の運動や運動トレーニングによる修飾作用を加味し、さらなる検討を計画している。
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Research Products
(16 results)