2009 Fiscal Year Annual Research Report
効果的な高地トレーニング実施のための筋エネルギー代謝からの検討
Project/Area Number |
20700533
|
Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
本間 俊行 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 研究員 (90392703)
|
Keywords | 筋エネルギー代謝 / 低酸素 / 磁気共鳴分光法 / 近赤外分光法 / 無酸素的代謝 / 有酸素的代謝 |
Research Abstract |
平成21年度は、高地トレーニングを効果的に実施するための基礎資料を得るため、疑似高地としての低酸素環境での運動時の骨格筋エネルギー代謝動態の特徴を明らかにすることを目的とした。 健康な成人男性7名(年齢:27~34歳)を対象に、磁気共鳴装置内において、常酸素条件(吸気酸素濃度:20.9%)と低酸素条件(吸気酸素濃度:13.0%)とで漸増負荷の動的膝伸展運動を疲労困憊に至るまで行わせた。大腿四頭筋を被験筋とし、筋内のクレアチンリン酸(PCr)濃度、無機リン酸(Pi)濃度、pHをリン31-磁気共鳴分光法(^<31>P-MRS)で、筋内の酸素化ヘモグロビン(HbO_2)、脱酸素化ヘモグロビン(HHb)、総ヘモグロビン(Hb_<tot>)を近赤外分光法(NIRS)で測定した。筋酸素動態を標準化する目的で、カフの加圧による10分間の動脈血流遮断を行った。安静時のHbO_2の値を100%、動脈血流遮断時の最低値を0%として筋酸素化レベルを評価した。また、ダグラスバッグ法により肺酸素摂取量(VO_2)を測定した。 運動パフォーマンスは、低酸素条件では常酸素条件よりも有意に低かった(p<0.01)。疲労困憊時の筋酸素化レベルおよびVO_2は低酸素条件において常酸素条件と比較して有意に低かった(p<0.05)。また、疲労困憊時の筋内PCrはいずれの条件においてもほぼ枯渇し、条件間で差はみられなかった(常酸素条件:6.6±0.7%,低酸素条件:4.7土0.6%;常酸素下安静時に対する相対値)。これに対して、筋内pHは常酸素条件よりも低酸素条件で有意に低かった(p<0.05)。 以上のことから、低酸素下での疲労困憊に至る高強度の運動時には、筋内の低酸素化にともなう有酸素的代謝の低下により、解糖系の動員が大きくなることが示唆された
|
Research Products
(1 results)