2009 Fiscal Year Annual Research Report
小規模医療施設における栄養指導の治療および経済効果に関する調査
Project/Area Number |
20700540
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
宮城 栄重 University of Shizuoka, 食品栄養科学部, 助教 (40341987)
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Keywords | 栄養指導 / 食事療法 / 糖尿病 / 生活習慣病 / 医療費削減 |
Research Abstract |
本研究の目的は、小規模医療施設における栄養指導の治療効果および経済効果を明らかにして、小規模医療施設での栄養指導の積極的な導入を促すことである。管理栄養士による栄養指導が実施されている診療所に協力を依頼し、栄養指導を受けた経験のある糖尿病患者(約200名)を対象に、レトロスペクティブ・スタディを行なってきた。これまでに2年間の調査を終えた患者についてみると、糖尿病の治療開始時に、薬物療法を受けず栄養指導のみを開始した群(栄指のみ群、42名)では、血糖値の指標であるHbAlcが栄養指導開始時の7.0±0.7%から、6ヶ月後には6.4±0.7%(p<0.01)、1年後には6.2±0.5%(p<0.01)、2年後6.3±0.3%(p<0.01)と有意に改善し、良好な値が2年間継続していた。この間に、薬物療法を開始した患者は20人(47.6%)であった。一方、薬物療法も管理栄養士による栄養指導も受けなかった患者(38人)では、調査開始時のHbAlcは7.0±0.7%であり、6ヶ月後は6.6±0.8%(ns)、1年後には7.1±1.1%(ns)、2年後7.0±0.7%(ns)であった。この間に、薬物療法を開始した患者は20名(52.3%)であり、栄指のみぐんと比べ多くの患者が薬物療法を受けているにもかかわらず、血糖値の改善はみられなかった。このことから、栄養指導は患者のよりよい食行動を促し、長期間良好な血糖値を維持させるために有用であると考えられた。一方、栄養指導を受けていない患者では、薬物療法を行なっても血糖改善は難しいことが明らかとなった。 今後は更に対象患者を増やし、調査期間を延ばして栄養指導の治療効果を明確にするとともに、薬物療法や合併症の治療に要した医療費を算出して、栄養指導により医療費の削減が可能であるかを検討する計画である。
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