2010 Fiscal Year Annual Research Report
小規模医療施設における栄養指導の治療および経済効果に関する調査
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20700540
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
宮城 栄重 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 客員共同研究員 (40341987)
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Keywords | 栄養指導 / 食事療法 / 糖尿病 / 生活習慣病 / 医療費削減 |
Research Abstract |
本研究の目的は、小規模医療施設に通う生活習慣病に対する栄養指導の治療効果および経済効果を明らかにして、小規模医療施設での栄養指導の積極的な導入を促すことである。 現時点で3年間の追跡データを得た患者のうち、薬物療法のみを開始し栄養指導を行わなかった群(薬物群:39人)では、治療開始時のHbA1c7.1±1.0%から半年後には6.6±0.7%と改善したが、その後上昇した(1年後6.9±0.7%、3年後6.9±0.7%)。一方、管理栄養士による栄養指導を受けて食事療法のみを開始し薬物療法を行わなかった群(栄指群31名)では、開始時のHbA1c7.1±1.1%から半年後には6.4±0.6%と有意に改善した(p<0.0005)。また、1年後6.3±0.5%、3年後6.5±0.5%と良好な状態が維持され、これらの値は薬物群と比べて有意に低値であった(p<0.05)。3年間の栄養指導回数は平均2.3±1.2回/年であった。3年の間に栄指群の患者のうち16名が薬物療法も始めたが、3年目の糖尿病関連の薬剤にかかった平均医療費は薬物群5,441±2,883円/月に対し栄養指導群1,296±2,145円/月と約1/4であった(p<0.0001)。 これらのことから、診療所における管理栄養士による栄養指導は糖尿病患者の血糖コントロールに有用であり、さらに薬剤にかかる医療費の削減が可能であることが明らかになった。血糖コントロールの不良は腎不全、網膜症、高血圧等の合併症発症に関連することから、栄養指導は合併症の予防に有効であるとともに長期的には更に大きな医療費の削減につながる可能性が示唆された。
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