2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペダリング運動によるセロトニン神経の活性化と心身の健康
Project/Area Number |
20700543
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Research Institution | Seiwa University |
Principal Investigator |
麓 正樹 Seiwa University, 法学部, 講師 (40339180)
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Keywords | セロトニン / 脳波 / 気分 / NIRS / ペダリング運動 / 脳血流 |
Research Abstract |
本研究では、リズミカルに繰り返されるペダリング運動がセロトニン神経を活性化して中枢のセロトニンレベルを増大させ、脳及び脊髄神経系の活動を適度に調節し、心理面では不安が少なく活気のある状態を形成する、との仮説を検討し、以下の結果を得た。 ヒトを対象として、ペダリング運動を15分間行わせた。その結果、ペダリング運動前後に定量した尿及び血液中のセロトニンレベルはペダリング運動後に増加した。 ペダリング運動中に記録した脳波を1分毎に周波数解析したところ、"波帯域のパワーが、ペダリング運動開始前と比べてペダリング運動中に増加し、その増加はペダリング運動終了後も維持された。 ペダリング運動前後に心理テスト(POMS)を実施した結果、ペダリング運動後には不安が少なく活気のある心理状態となることが明らかとなった。 前頭前野からセロトニン神経への投射に注目し、ペダリング運動中に前頭前野の24個所から、近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いて脳血流を測定した。その結果、前頭前野の腹側部において背側部よりも有意な脳血流の増加を認めた。 尿及び血液中のセロトニンレベルの増加は、ペダリング運動中のセロトニン神経の活性化を反映するものと考えられる。セロトニン神経の活性化は、脳波のα波帯域のパワーを増加させ、α波帯域のパワーの増加は不安が少なく活気のある心理状態に関係すると考えられる。 前頭前野における局所的な脳血流の増加は、ペダリング運動による前頭前野の活性化を示唆する。前頭前野と脳幹のセロトニン神経の解剖学的な連絡を考慮すると、ペダリング運動中の前頭前野の活性化がセロトニン神経の賦活に影響すると考えられる。
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