2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス暴露にともない発症する非アルコール性脂肪性肝炎のメカニズム解明
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20700550
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中本 賀寿夫 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30432636)
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / ミトコンドリア / 酸化ストレス |
Research Abstract |
これまでに当研究室で開発した非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)モデル動物(PCT/JP 2007/52477)を用いて、NASH病態進行に酸化ストレスが関与していること、抗酸化活性に優れた食品素材(緑茶発酵物水抽出エキス、FGTE)投与がNASH進行(特に肝線維化)を予防できることを報告してきた。今年度の研究はNASHモデル動物の病態進展解明に向けて、主な活性酸素発生部位であるミトコンドリア、ミクロソームに注目し、そこからの活性酸素種量、形態および機能変化について研究を実施し、NASH進行における酸化ストレス発生部位を明らかにすることを目的とした。 1. NASHの肝ミトコンドリア派生ROS量を電子スピン共鳴法により測定した結果、NASHラットでは有意に増加していた。 2. NASHの肝ミトコンドリア機能について酸素電極法により解析した結果、NASHラットではミトコンドリア機能低下を惹起していた。また、透過型電子顕微鏡によりその形態を観察したところ、NASHラットの肝ミトコンドリアは正常ラットと比べて顕著に膨潤しており、形態学的にも障害されていた。 3. 酸化ストレスと密接に関与する炎症系因子について、核内へ移行したNF-kB量をウエスタンブロッティング解析した結果、NASHラットではNF-kB蛋白量が増加していた。 4. ミクロソーム中のCYP2E1についてウエスタンブロッティング解析した結果、NASHラットではCYP2E1が誘導されていた。 以上の本研究成績より、NASHではミトコンドリア障害による酸化ストレス亢進が実証され、酸化ストレスによる炎症蛋白の誘導がNASH進行を悪化させていることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)