2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス暴露にともない発症する非アルコール性脂肪性肝炎のメカニズム解明
Project/Area Number |
20700550
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中本 賀寿夫 Kobe Gakuin University, 薬学部, 講師 (30432636)
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Keywords | NASH / 酸化ストレス / 低酸素 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
本年度の研究では、抗酸化機能に優れた食品素材がNASH進行にともなうミトコンドリア障害に対して、予防できるかどうかについて検討を行った。強力な抗炎症、抗酸化能を示す甘草抽出物あるいは緑茶発行物水抽出物は、NASHにおけるミトコンドリア機能異常及び形態学的変化を有意に抑制した。さらに、NASHにおいて認められる抗酸化防御酵素Mn-SODの低下を予防し、酸化ストレス増大を抑制できた。したがって、これらの食品素材はミトコンドリア保護効果を介してNASH進行を予防できることが示唆された。さらに、NASH進行には脂肪肝および慢性的な低酸素暴露、どちらが必須因子なのかについて検討を行なった。これら両因子のどちらかを取り除いた条件ではNASH病態を誘発させることができなかった。したがって、この病態機序として、ファーストヒットに脂肪肝形成が必須であり、セカンドヒットに慢性的な低酸素暴露による酸化ストレスが関与し、2つの因子が共存することでNASH進行を惹起している事を証明した(投稿準備中)。 本研究期間中において、脂肪肝を発症させたラットに対し、低酸素を慢性的に負荷することでNASH病態を誘発できること(Takayama et al., J Clin Biochem Nutr, 2009)、さらに、緑茶発酵物水抽出物(FGTE)300mg/kg投与によって、ミトコンドリア由来活性酸素種の産生増大を抑制し、NASH進行を予防できることを報告した(Nakamoto et al.,J Clin Biochem Nutr, 2009)。 以上より、我々はNASH進行にはミトコンドリア障害由来の酸化ストレスが病態進行に大きく関与していることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)