2008 Fiscal Year Annual Research Report
物忘れ、認知障害防止を目指した香りリラクセーション技法の開発
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20700556
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
渡邉 映理 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (20433253)
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Keywords | 記憶 / 認知 / 香り / 自律神経系 / コルチゾール / イムノグロブリンA / 健康成人 / 腹式呼吸 |
Research Abstract |
平成20年度は健常人での基礎的研究を行った。 20〜25歳の健常人男性50名に心拍計を装着し、5種類の精油{ペパーミント(PE)・パルマローザ(PA)・真正ラベンダー (LA) ・ゼラニウムブルボン(GE)・グレープフルーツ(GR)}と蒸留水{ブランク(B)}の計6条件を300μlずつ、70m1の蒸留水に浮遊させ、超音波式ディフューザー(香り拡散器)で30分ずつ提示した。腹式呼吸を実施し香りを十分に吸気に取り入れた後、認知に重要な役割を果たすと思われる視覚記憶テスト(日常的な時事単語・色・形が異なる記号・日常的な風景の画像を記憶・再生)を実施、自律神経系機能・唾液中コルチゾール、唾液中イムノグロブリンAとの関連を調べた。6条件はランダムに提示し、試験は3名ずつ行った。結果は統計学的検定を行い、対応のあるt検定でB条件と香り5条件の比較を行った。単語記憶テストはB条件と比較してどの香り条件も得点が低く、LA、PE、GE、GRは有意に低かった。記号記憶テストはいずれもBと比べて香り5条件で得点が高く特にPA、PE、GRは有意に高かった。画像記憶はPAがBと比較して有意に得点が高かった。また、自律神経系は、全体30分ではHF値(%)はBと比較してLA、GE、GRで高くなり、LF/HF値(%)はBと比較してPA、PEが高くなった。画像記憶の際、PA、LA、GE、GR、PEの順で、Bと比較して有意にHF値(%)が高くなり、特にPA条件が顕著に高かった。記号記憶時も香り5条件全てでBよりもHF値(%)が高くなったが、画像記憶時ほど顕著な差はなかった。 以上の結果から、香りの種類によって視覚的記憶機能は変化すること、時事単語と感覚的な記号・画像では記憶機能への効果が異なる可能性が高いこと、記憶機能と自律神経機能が関連している可能性が示唆された。
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