Research Abstract |
メタボリックシンドローム対策として, 運動や食習慣の改善を促すための介入指導は, リスク軽減に効果的である。運動・食事介入指導の場において, 習慣行動の変容がなければ効果は得られ難く, いかに効果的な運動・栄養改善指導を行うのかが重要であるが, 運動あるいは食事行動変容が容易なヒトと容易でないヒトといった個人差が認められ, その原因には, 環境的要因だけでなく, 遺伝的素因が関与していることが考えられる。本研究は, メタボリックシンドローム改善のための運動・食事習慣の行動変容を規定する遺伝子多型を同定し, 遺伝的素因に基づくテーラーメイド運動・栄養指導法についての学術的基礎開発を構築することを日的とした。30-65歳を対象に運動・食事指導による介入前後の運動行動変容(加速度計による身体活動量の評価)・食事行動変容(Three-factor eating questionnaireによる評価)の評価により, 運動行動変容が生じた者, 食事行動変容が生じた者, 運動・食事の両方の行動変容が生じた者, 運動・食事のどちらも行動変容がなかった者の4グループに分類した結果, 運動行動変容群は36%, 食事行動変容群は27%, 両行動変容群は27%, 両行動変容なし群は9%の割合であった。各行動変容に関連する遺伝子多型の網羅的解析を実施するため, 各グループの代表者のDNAとgenechip(Illumina社製Human660W-Quad Bead Chip)を用いて550, 000個の遺伝子多型を網羅的に解析している。また, 候補遺伝子アプローチ法においては, 運動あるいは食事行動変容に関連する遺伝子として, melanocortin-4 receptor, dopamine D2 receptor, ghrelin, agouti-related peptideなどの多型が考えられる。
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