2010 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者と地域の持続的相互関係の構築に関する研究
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20700572
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
立松 麻衣子 九州女子大学, 家政学部, 准教授 (60389244)
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Keywords | 高齢者 / 地域 / 相互理解 / 相互扶助 / 地域居住 |
Research Abstract |
本研究では、要介護高齢者がその人らしい生活を送るためには、要介護高齢者自身が「役割」や「地域社会との関係性」を実感できることが重要であり、その実現にはサポートが必要だと考えている。そして、そのサポートの一役を担う介護事業所に注目して調査研究を行ってきた。 昨年度までの研究から、介護事業所が要介護高齢者に新たな活動や人間関係を創出することは、要介護高齢者の「役割」感に働きかけることがわかった。しかし、年々心身症状が重度化する要介護高齢者には、活動による「役割」の取得が難しくなり、介護事業所は、要介護高齢者が地域の中で作り上げてきた「人や環境のつながり」を意識してケアをすることが重要だということがわかった。そして、そのケアを行うためには、介護事業所と地域の間に関係性が構築されていることが重要であることがわかった。 今年度は、介護事業所と地域の相互理解・相互扶助の関係性の構築と、その関係性の上に成り立つフォーマルケアとインフォーマルケアの相互機能の追究を目指して、実践的な研究活動を行った。具体的には、奈良市内特別養護老人ホームとそのサービス圏である1中学校区を対象にして、介護事業所内でイベントを開催したり菜園を作ったりして、地域が介護事業所に入り込める接点を作った。その活動を通して、日常的に地域が事業所に入り込む仕掛けを作ることによって、介護事業所に不足する「多世代が行き来する」という機能がカバーされることがわかった。同様に、介護事業所が地域に入り込み、介護事業所が地域に不足する機能をカバーする仕掛けについても検討を重ねたが、実証的な取組は今後の課題である。介護事業所と地域が役割を補完しあえる関係性と、その関係性による要介護高齢者への効果について、今後さらに追究していく。
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