2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700582
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平島 円 Mie University, 教育学部, 准教授 (80390003)
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Keywords | 澱粉 / 糊化 / 老化 / テクスチャー / 有機酸 |
Research Abstract |
【研究の目的】澱粉の糊化・老化および調味料の添加による食味の変化の関係については,実際に調理手順を組み立てる上で極めて重要である.本研究では澱粉のテクスチャーを大きく変化させる要因である澱粉の老化と調味料の酸に着目し,機器分析の結果から澱粉食品の糊化・老化特性と食感を任意に制御する方法を見出すことを目的とした. 【実施方法】澱粉にはコーンスターチ,ジャガイモ澱粉およびタピオカ澱粉を用いた.種々の澱粉の濃度範囲は可能な限り広く設定した.種々の澱粉の糊化・老化特性を比較するためDSC測定および離水測定を行った.また,それぞれの澱粉分散液にクエン酸を添加してpHを調整し,酸による澱粉の老化への影響についても検討した. 【結果】種々の澱粉糊液の老化過程の比較は,澱粉糊液の離水率の経時変化により検討した.コーンスターチ糊液では14日以内の短い保存期間で離水率が急激に高くなり,その後はほぼ一定となった.一方,ジャガイモ澱粉糊液では60日間の長期保存でも徐々に離水率は増加し,その後はコーンスターチよりも高い離水率でほぼ一定となった.一方,タピオカ澱粉は90日間保存しても全く離水を起こさなかった.また,澱粉ゲルの老化過程はDSC測定により検討した.DSC測定から得られた老化率の経時変化からは,コーンスターチとジャガイモ澱粉の老化の進行具合に差は認められなかった.タピオカ澱粉の老化は全く起こらなかった.したがって,用いた澱粉の中でタピオカ澱粉が最も老化しにくいとわかった. また,澱粉に酸を添加しても澱粉の老化の進行具合にほとんど影響はなかったが,pH3.0程度の低pHにすると澱粉糊液の離水はほとんど起こらず老化の進行具合がゆるやかになると思われた.したがって,酸を添加しても澱粉食品の老化に対しては考慮する必要のないことがわかった.
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