2008 Fiscal Year Annual Research Report
黒大豆種皮エキスの抗アレルギー作用に及ぼす調理の影響に関する研究
Project/Area Number |
20700583
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
比江森 美樹 Okayama Prefectural University, 保健福祉学部, 助教 (80326412)
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Keywords | 黒大豆 / 抗アレルギー作用 / シアニジ-3-グルコシド / プロシアニジン |
Research Abstract |
I型アレルギーに対して抑制効果を発揮する物質を含む食品素材は、アレルギーの予防や患者の症状の緩和に役立つことが期待される。既に、「黒大豆種皮エキス」に注目し、ラット好塩基球様白血病株化細胞(IBL-2H3)を用い、抗原抗体反応により引き起こされる脱顆粒抑制効果を指標にして、本エキスに抗アレルギー作用を認めている。さらに、その作用成分の一つがシアニジン-3-グルコシドであることを特定しているが、その他にも抗アレルギー作用に大きく寄与する成分Xが存在する。 そこで、本研究では、「黒大豆種皮エキス」の抗アレルギー作用の全体像を明らかにし、本エキスのアレルギー抑制に有効な食品素材としての活用を目指し、本年度は有効成分Xの同定を試みた。 1、抗アレルギー成分の単離 : 黒大豆種皮エキスを逆相カラムを装備した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分画後、RBL-2H3細胞のアッセイにより抗アレルギー作用成分を追跡した。すなわち、IgE抗体として抗ジニトロフェニル抗体を、抗原にはジニトロフェニル-アルブミンを用いた抗原抗体反応において、黒大豆種皮エキス画分の共存下、細胞より放出される化学伝達物質を測定し、各画分の抑制効果を検討した。その結果、カラムに強く吸着した画分に抑制成分の存在を認めた。最終的に、HPLCにて溶出条件を変更し、目的の有効成分を含むピークを単離した。 2、抗アレルギー成分の同定 : 1にて単離された成分について、HPLCでの溶出パターン及び酸加水分解後のHPLCならびにTLCパターンから、有効成分はプロシアニジンであることが示された。 以上の成果は、調理操作が黒大豆の抗アレルギー作用に及ぼす影響を検討する際に、シアニジン-3-グルコシドとともに、プロシアニジンが有効な指標になることを示すものである。
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