2008 Fiscal Year Annual Research Report
溶存酸素による食品の劣化に対するポリフェノール化合物の有効性に関する研究
Project/Area Number |
20700587
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
安田 みどり (隈本 みどり) Nishikyushu University, 健康福祉学部, 教授 (20279368)
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Keywords | 食品 / 生理活性 / 溶存酸素 / ポリフェノール |
Research Abstract |
本研究では、溶存酸素ががポリフェノールの安定性にどのような影響を与えるかを調べることを目的とした。UV-Vis分光光度計を用いて、(一)-エピガロカテキンガレート(EGCG)のスペクトルを30分ごとに2時間まで測定し、溶存酸素量に伴うスペクトルの変化を調べた。pH7以下では、溶存酸素濃度にかかわらずEGCGのスペクトルに変化はほとんどみられなかった。pH8以上の場合、無酸素状態ではカテキンは安定であったが、溶存酸素濃度2-8ppmにおいては、時間の経過と共に、320nm付近のピークがが減少した。一方、酸化剤としてDPPHを加えた場合、無酸素状態ではスペクトルに変化はみられなかったが、酸素(8ppm)が存在したときには、320nmのピークに変化はないものの、450nm付近の吸光度が高まることが明らかになった。つまり、DPPHは、カテキンの酸化を生じさせたと考えられる。また、電位差自動滴定装置(Ar-610-ST、京都電子)によって、カテキン類の滴定を水酸化カリウム水溶液により行った。その結果、滴定曲線は溶存酸素量に依存しないことが明らかになった。しかし、滴定中の溶存酸素量がカテキン類により異なることがわかった。(一)-エピカテキン(EC)は滴定中の溶存酸素量がほとんど変わらなかったが、(一)-エピガロカテキン(EGC)やEGCGは、滴定中に酸素がが著しく消費された。また、溶存酸素が少しでも存在する場合は、滴定中に溶液の着色が認められた。これは、カテキンがキノン体となっていることを示唆している。以上のことより、溶存酸素はカテキン類の酸解離には影響を及ぼさないが、カテキン類の酸化には著しく影響することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)