2009 Fiscal Year Annual Research Report
溶存酸素による食品劣化に対するポリフェノール化合物の有効性に関する研究
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20700587
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
安田 みどり (隈本 みどり) Nishikyushu University, 健康福祉学部, 教授 (20279368)
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Keywords | 食品 / 生理活性 / 溶存酸素 / ポリフェノール |
Research Abstract |
本研究では、溶存酸素がポリフェノール類の安定性にどのような影響を与えるのかについて検討を行った。ポリフェノール類(カテコール、カテキン類)の水溶液を電位差滴定用セル(37℃)に入れ、水酸化カリウム溶液にて滴定を行った。滴定セル中に窒素または酸素ガスを流し込み、初期の酸素濃度を0、7、30mg/Lに調整し、滴定に伴う溶存酸素濃度を酸素センサーにて測定した。また、セル中の溶液をポンプにてフローセルに流し込み、滴定中の溶液のUV・Visスペクトルを光ファイバースペクトロメータにて一定時間毎に測定した。 溶存酸素濃度にかかわらず、カテコールの1つ目の酸解離定数はほとんど変わらなかったが、溶存酸素濃度が高まると共に2つ目の酸解離定数が低くなり、水素イオンの解離が早まることが明らかとなった。水素イオンの酸解離が進むとともに、カテコールの酸化体がpH10付近から生成し、しかも酸素濃度に依存することを確認した。これは、カテキン類についても認められた。つまり、ポリフェノール類はアルカリ性にすれば酸化が促進されるが、逆に言えば、酸素が過剰に存在する状態でも中性以下のpHに保っていれば酸化を防ぐことができるといえる。通常、市販の加工食品は、中性以下のpHに保たれているため、酸素濃度にかかわらずポリフェノールの酸化が防がれていることが予測される。しかし、金属イオンなどの共存物質の存在により、溶存酸素がポリフェノール類に影響を与える可能性があるため、今後検討する予定である。
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