2008 Fiscal Year Annual Research Report
他種タンパク質添加による鯨ミンチ肉の加熱ゲル化に関する研究
Project/Area Number |
20700590
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
和田 律子 National Fisheries University, 食品科学科, 助教 (30351935)
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Keywords | タンパク質 / 鯨ミンチ肉 / ゲル / 乳清タンパク質 |
Research Abstract |
【目的】調査捕鯨の副産物として得られる鯨肉を切り分ける時に生じる残滓は、落とし身(ミンチ肉)に加工されている。鯨ミンチ肉は塊肉と比べて安価だが、利用範囲が多くはない。他のタンパク質と混合すれば、単独で用いる場合とは異なる特性のゲル作成が可能になることが予想され、ミンチ肉の有効利用と豊かな食生活の確保に繋がることが期待される。乳清は乳からのチーズ製造やカゼイン分離後に得られる上清部分であり、乳清タンパク質(Whey Protein Isolate:WPI)はゲル特性改変等の目的で様々な食品に用いられている。また、低イオン強度下、中性pH域で一旦加熱したWPIは、未加熱WPIとは異なる特性を示すことも既に知られているが、混合ゲルに関する知見はほとんどない。そこで、本研究では鯨ミンチ肉にWPIを添加し、水分量やWPI量を変え、ゲルの特徴を調べた。 【方法】凍結鯨ミンチ肉を半解凍し、荒摺りした。水分量を75、80、85、90%に調整した肉糊重量に対し、0、0.5、1、2、3%のWPIと0.3%の重合リン酸を加えて攪拌し、最後に2.5%のNaClを加えて塩摺りした。85℃で30分間加熱後、形成したゲルの破断強度、破断歪み率、離水率を測定した。加熱WPIを添加する場合は、10%WPI溶液を80℃で1時間加熱後、未加熱WPI添加時と水分量、WPI量を等しくし、同様の実験を行った。 【結果】WPIの添加量が増加するにつれて破断強度が増加し、破断歪み率と離水率は低くなる傾向が見られた。また、水分含量の増加に伴って破断強度の低下、離水率の増加が見られた。一旦加熱したWPIを添加した場合は水分含量80-95%では未加熱のものとの明確な違いは見られなかったが、75%では加熱WPI添加の鯨ミンチ肉の方が低い破断強度を示す傾向が見られた。
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