2009 Fiscal Year Annual Research Report
他種タンパク質添加による鯨ミンチ肉の加熱ゲル化に関する研究
Project/Area Number |
20700590
|
Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
和田 律子 National Fisheries University, 食品科学科, 講師 (30351935)
|
Keywords | タンパク質 / 鯨ミンチ肉 / 加熱ゲル / 乳清タンパク質 / 卵白タンパク質 / 大豆タンパク質 |
Research Abstract |
【目的】調査捕鯨の副産物として得られる鯨肉を切り分ける時に生じる残滓は、落とし身(ミンチ肉)に加工されている。鯨ミンチ肉は塊肉と比べて安価だが、利用範囲が限られている。しかしながら他のタンパク質と混合して加熱すれば、単独で用いる場合とは異なる特性のゲル作成が可能になることが予想され、ミンチ肉の有効利用につながることが期待される。そこで本研究では、ゲル特性改変の目的で一般的に食品に利用されている乳清・大豆・卵白の各タンパク質を鯨ミンチ肉に添加後加熱して、形成されたゲルの破断荷重および離水率を測定し、その特性を調べた。 【方法】半解凍した凍結鯨ミンチ肉の水分含量を85%に調整し、食品添加物として市販されている乳清・大豆・卵白の各タンパク質を、それぞれ肉糊の総量に対して0、1.0、3.0、5.0%になるように添加したものを作成した。そこに0.3%の重合リン酸塩、2.5%の塩化ナトリウム(食塩)を順に加えて塩摺りを行い、85℃で30分間加熱し直ちに冷却後、常温に戻してゲルの破断荷重及び破断歪率を測定した。また、加熱ゲルを200Xgで3分間遠心機にかけ、遠心機にかける前後の重量を測定し、差し引き法で離水率を求めた。 【結果】いずれのタンパク質を添加した場合においても、破断歪率の変化は少ないが、各タンパク質の添加量の増加に伴って破断荷重は増加し、離水率は減少した。また、乳清タンパク質については、一旦加熱処理をした加熱乳清タンパク質を添加した場合、未加熱のものを添加した場合よりも高い破断荷重と低い離水率を示した。これらの結果から、クジラミンチ肉に他種タンパク質を添加することによって、食感改善や保水性の向上などが期待されることが示唆された。
|