2009 Fiscal Year Annual Research Report
フラボノイドによる血管内皮細胞に対する単球接着作用に関する研究
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20700592
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
谷 真理子 Ochanomizu University, 生活環境教育研究センター, 研究機関研究員 (90452028)
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Keywords | フラボノイド / 単球の活性化 / 接着分子 / 単球接着 / 抗炎症作用 |
Research Abstract |
動脈硬化の発症過程において、単球の血管内皮に対する接着は、マクロファージへの分化・泡沫化を誘導することから重要な制御段階であると考えられている。近年、柑橘類による冠動脈疾患予防に注目が集まっており、我々は、これまで柑橘類に豊富に含まれるフラボノイドがLDL酸化抑制作用、食後高脂血症抑制作用および、血管内皮細胞での接着因子の発現抑制作用を示すことを報告した。本年度は、動脈硬化の危険因子の一つとして、高濃度のホモシステイン(Hcy)による単球の活性化に注目し、フラボノイドによる抑制作用を検討した。 ヒト単球系細胞株(THP-1)における活性酸素量を、フローサイトメーターを用いて測定したところ、Hcy処理により増加した活性酸素量は、フラボノイドアグリコンであるeriodictyol、hesperetin添加により低下が認められた。また、NADPHオキシダーゼp67phoxとRac1の活性阻害が示された。さらに、抗酸化関連酵素と炎症性サイトカインの発現量をreal-time PCR法にて解析したところ、Eriodictyol、hesperetinによりHcyによって誘導されるカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼの発現は有意に減少した。また、炎症性サイトカインであるMCP-1、TNF-α、IL-1βの発現の低下も認められた。次に、Hcyとフラボノイドを処理したTHP-1細胞を用いて、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に対する接着実験を行ったところ、Hcyによる接着はeriodictyolおよびhesperetinにより有意に減少した(p<0.05)。 従って、フラボノイドは、高濃度のホモシステインによる単球の活性化を抑制し、血管内皮細胞への接着を減少させる可能性が示唆された。
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